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最終更新日 8月28日
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 生薬とは何か?
 生薬というのは、自然界にある動植物のうち、薬効成分を持つ部分を薬として利用できるようにしたものをいいます。 最も多いのは草木類で、根、茎、樹皮、果実、花、種子などが用いられます。生薬の約8割がこられを材料にしたものです。このことを草根目皮と呼んでいます。植物以外では、動物の皮、骨、内臓のほか、キノコ類や昆虫、貝殻にも薬効があるものがあります。生物以外では、鉱物の一部も薬物として利用されています。 動植物由来の原材料は、生のままではなく、塩水に浸して干したり乾燥させ、砕いたり挽いたものを主に煎じて服用します。
 生薬成分の分類
  生薬の分類を具体例で確認しておきましょう。まず、植物の例としては、菊の花(茵ちん蒿)、シソの葉(蘇葉)、キハダの樹脂(黄柏)、葛の根(葛根)、生姜の根茎(生姜)、杏の種子(杏仁)などがあります。 動物では、ロバなどの皮や骨髄からつくるニカワ(阿膠)、鹿の角(鹿茸)、牛の胆嚢にできた結石(牛黄)、ミミズ(地竜)、牡蠣の貝殻(牡蛎)、セミの抜け殻(蝉退)などがあります。 鉱物(ミネラル)の例には、含水硫酸カルシウム(石膏)、含水珪酸アルミニウム(滑石)、炭酸カルシウム(竜骨)、硫酸ナトリウム、(芒硝)などがあります。キノコ類(菌類)の例には、サルノコシカケ科マツホド(茯苓)、サルノコシカケ科チョレイマイタケ(猪苓)などがあります。
 漢方薬の組成
  漢方薬は、生薬を単独で使うことはあまりなく、ほとんどの場合、2種類以上の生薬の組み合わせて調合した複合剤が用いられます(生薬を1種類だけで使うのは民間療法のやり方です)。 西洋医学で使用される医薬品の原料も、もともとは、草木類などの天然物で、生薬として利用されていました。しかし、化学が飛躍的に発達した19世紀の西洋で、生薬に含まれる有効成分だけを抽出して生成・純化することに成功し、少ない量で確かな効能を得ることが可能になりました。さらに、成分を分析して別の材料から人工合成(化学合成)できるようになり、量産化や均質化が可能になったことで、生薬が使われることはほとんどなくなりました。
 これに対し、漢方医学は生薬を複合して用いることを伝統的に守り続けています。それには次のような理由があります。複合剤である漢方処方は、単一成分を純化しただけの医療薬と比べ、成分数が段違いに多く、薬効成分以外のものも含まれています。その薬理作用は複雑多彩です。しかも、2000年以上の歴史をもつ漢方は、長い年月の間に無数の処方を試み、無益で有害なものを淘汰する作業を繰り返してきました。その結果、優れた処方だけが残り、今日に継承されているのです。
 上薬、中薬、下薬
  漢方薬に含まれている生薬には、上薬、中薬、下薬の種類があります。生薬の配合は、上薬を中心に、中、下薬を定められた比率で組み合わせて行なわれます。上薬は、体質強化、養生を目指すものです。毎日摂取することで体質を改め、別の薬の副作用を軽減したり、全身状態を改善します。即効性はありませんが、副作用がほとんどありません。甘草、人参、菊花、朮、五味子などがその例です。
 中薬は、比較的穏やかな作用で新陳代謝を活性化したり精を養うもので、大量に摂取しない限り、副作用の心配はありません。当帰、柴胡、かっこんとう、麻黄、芍薬、黄苓、防巳などがその例です。 下薬は、作用は強いものの、しばしば副作用を伴うものです。摂取量や摂取期間に注意が必要で、医薬品に似た性質を持っています。大黄、黄柏、附子、半夏、桔梗などがその例です。
 煎じ薬とエキス剤
  漢方薬には、次のような剤型(薬の形状)があります。
○湯剤は●●湯のように、末尾に湯がつくものは煎じ薬です。●●飲、●●方がつくものも同様です。煎じ薬だけで全体の約7割を占めます。煎じ薬は、配合された複合剤を湯に煎じて服用します。吸収がよいため効果は高いのですが、服用までに少し手間が掛かるのが短所です。○散剤は●●散と呼ばれるもので、生薬を挽いて粉末にしたものです。○丸剤は●●丸と呼ばれるもので、生薬を粉末にしたあと、ハチミツなどで丸めて固めたものです。○膏剤は複合生薬をゴマ油やミツロウなどで溶いた塗り薬で、紫雲膏があります。○エキス製剤は煎じ薬(湯剤)をフリーズドライ(凍結乾燥)加工したものです。細粒、顆粒、錠剤、丸薬、カプセル剤などにしてあるため、すぐ服用できる利点があり、保存や形態が現減りです。
 丸剤や散剤などは便利なものですが、成分量にバラツキができるため、計画的な服薬にはなじみにくい面があります。そこで、病院などで漢方を処方する場合は、処方の規格や品質が一定したエキス剤(漢方エキス製剤)が使われるようになっています。しかし、薬の内容によっては煎じて飲むことを求められることもあります。
 煎じ薬は、服用のために時間を掛けて煎じなければなりませんが、生薬の配合を工夫することで、ひとりひとりの体質や症状に合わせた処方が可能です。漢方の特徴であるオーダーメイド医療を提供できる点で最も優れている剤型といえます。煎じ薬は、漢方専門医に処方してもらい、漢方専門薬局で購入することができます。
 エキス製剤は、製造過程で生薬の成分に多少の変化が生じるため、薬効が弱められる可能性がありますが、煎じ薬とほとんど差がありません。何よりも、すぐに服用でき、錠剤や細粒状となって密封されているため、携行や保存に便利などのメリットがあります。ただ、元の生薬の品質が確認できないとか、湿気を帯びやすいという短所はあります。
 民間薬と漢方薬
 民間薬とは、昔から薬効があると伝えられてきたセンブリ、センナ、ゲンノショウコなどのほか、イチョウの葉、アロエなどのことで、漢方の生薬として用いられたてるものもあります。
 漢方薬と民間薬との違いは、漢方薬が生薬の複合調剤によって多様な病態・症状に用いられるのに対し、民間薬は一つの生薬でできています。また、民間薬は一病一薬、つまりセンブリは健胃に、ゲンノショウコは下痢止めにと決められており、どのくらいの量をどう服用すれば良いかが曖昧で、地域差もみられます。つまり、用量や適応、効果について統一した理論や見解がありません。
 これに対して漢方は、患者さんの症状や体質、体格、体力などを良く見極め、証に合う処方を独自に整備・蓄積してきたのです。そのため、証に合致すれば素晴らしい効果を発揮し、主症状以外の症状も解消してしまうことが少なくありません。また、用法や適応、効果についても、ある程度統一した見解が存在します。


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